はじめに
サッカーのJリーグは、今年(2023年)5月15日に30周年を迎えます。
それを記念して、サッカーの記事をいくつか書きます。
今回の記事は、将棋の駒の役割と、サッカーのポジション(オーソドックスな4-2-2-2システム)が驚くほど完璧に対応するというお話です。
※最近では、4-2-2-2から少し変形した4-2-3-1、4-2-1-3、4-1-2-3などのシステムも多く使われていますが、テレビの実況などでは今でも「オーソドックスな4-2-2-2」という呼び方をよく耳にします。
玉将は、ゴールキーパー(GK)
将棋は、相手の玉将を取ると勝ちになります(実際は、玉将を取る前に相手が負けを認めて勝負がつきます)。
サッカーは、相手のゴールキーパー(GK)の守りを破って、相手ゴールにボールを入れると1点になります。
したがって、将棋の玉将とサッカーのゴールキーパーが対応していると言えます。
ちなみに、玉将と王将は機能に違いはありませんが、一般的に格下の棋士が玉将を使い、格上の棋士が王将を使います。
盤上の駒は玉将と王将に分かれていても、呼ぶときにはどちらも玉将(玉)というのが一般的です。
(俗に王様と呼ぶこともあります)
金将は、センターバック(CB)
金将は、主に玉将の近くにいて、守備を固める役割が主です。
まさにサッカーのセンターバック(CB)の役割と同じです。
また、将棋では、相手の玉将の前に金将を打って王手をかけることを「頭金」と呼び、頭金で勝負が決まることも多いです。
一方、サッカーのセンターバックは、長身選手が多いため、セットプレーになるとゴール前へ上がっていって、ヘディングでゴールを決めることも多いです。
これぞ、文字通り頭金ですね。
銀将は、ディフェンシブ・ミッドフィールダー(DMF)
将棋の銀将は、大駒(飛車と角行)のような派手な動きはしませんが、自陣と敵陣との中間あたりで動き回り、守備と攻撃に奮闘する、文字通りいぶし銀の役割の駒です。
サッカーで言えば、ディフェンシブ・ミッドフィールダー(DMF)の役割です。守備的ミッドフィールダー、ディフェンシブ・ハーフ、ボランチとも呼ばれます。やはりいぶし銀と呼ばれる選手が多くいるポジションです。
相手が玉将(ゴールキーパー)や金将(センターバック)のところまで攻め込んでくる前に、銀将(ディフェンシブ・ミッドフィールダーがピンチをいち早く防ぎ、反撃につなげます。
ディフェンシブ・ミッドフィールダーが2人の場合、1人がやや攻撃的、もう1人がやや守備的な役割になることが多いのですが、将棋の銀将も片方が攻撃的、もう一方が守備的になることが多く、この点でも銀将とディフェンシブ・ミッドフィールダーはよく似ています。
桂馬は、オフェンシブ・ミッドフィールダー(OMF)
将棋の桂馬は、目の前の駒を飛び越えられる唯一の駒(2つ前方のマスの両隣のマスへ進めます)です。独特の動きで相手の守備駒を翻弄して、チャンスを作り出す、技巧派の駒です。
サッカーでいえば、フェイントで相手の裏へ抜け出したり、スルーパスで相手守備陣の裏へボールを出したり、ループシュートや芸術的フリーキックでゴールを決めたりする動きに似ています。
これらは、主にオフェンシブ・ミッドフィールダー(OMF)が得意とするプレーで、相手の固い守備陣形を崩して決定的チャンスを生み出します。
オフェンシブ・ミッドフィールダー(攻撃的ミッドフィールダー)は、システムに応じていろいろな呼び方があります。
4-2-2-2システムの場合は、ディフェンシブ・ミッドフィールダーよりもサイド寄り(まさに桂馬の位置)にいるので、サイドハーフ(SH)と呼ばれます。
香車は、サイドバック(SB)
将棋の香車は、盤面の一番端に置かれ、前方へ何マスでも進むことができる快足自慢の駒です(ただし、他の駒を飛び越えることはできません)。
サッカーのサイドバック(SB)もサイドを快足を飛ばして駆け上がる役割のポジションなので、イメージはぴったりです。
飛車と角行は、フォワード(FW)
将棋の飛車と角行は、一気に敵陣へ攻め込んでいく、攻撃の中心的な駒です。
サッカーでは、フォワード(ツートップ)の役割です。
飛車は正面から相手の玉将に狙いを定めるエースストライカーといえます。
サイドを縦に駆け上がり、横にカットインして、シュートを決めるのも飛車の動きです。
また、サッカーの攻撃では、ダイアゴナルラン(斜めに走ること)によって、相手陣形を崩すのが有効といわれていますが、将棋でその役割を担うのが角行です。
タイプの異なるツートップによる攻撃は、将棋もサッカーも迫力があります。
近年のサッカーのフォワードは攻撃だけでなく守備も要求されますが、飛車や角行は敵陣から自陣へ一気に戻ることも可能な駒なので、守備力も高い優秀なフォワードといえます。
歩兵は、?????
ここまでで、将棋の11枚の駒と、サッカーの11人のポジションとが驚くほどぴったり対応することがわかりました。
さて、将棋には、あと9枚の歩兵があります。
これは、サッカーの何に対応するのでしょうか?
歩兵は、将棋の駒の中では一番力のない(動けるマスが少ない)駒ですが、「歩のない将棋は負け将棋」という格言もある通り、欠かせない戦力です。
一方、サッカーには「12番目の選手」という言葉があります。
そう、サポーターのことです。
多くのサポーターの力強い応援によって選手は力を発揮することができるため、サポーターもチームの一員として欠かせない戦力です。
将棋の歩兵をサッカーの12番目の選手(サポーター)に対応づけることで、将棋の駒とサッカーのポジションを完全に対応づけることができました。
あらためて上の図を見ると、中央から端(サイド)に向かって玉将、金将、銀将、桂馬、香車という並び順まで、将棋の初期配置と同じですね。
まとめ
日本の将棋の駒の役割と欧州や南米を中心に発展したサッカーのポジションが、偶然にも、完璧に対応するという不思議なお話でした。
「将棋もサッカーも敵味方が入り乱れて、相手の玉将(ゴールキーパー)を破るという共通点があるので、システムを突き詰めていくと類似点が出てくるのかな」と仮説を立ててみましたが、それにしても歩兵を除く11枚の駒の役割とサッカーの11個のポジションが完璧に対応するというのは奇跡的としか言いようがありません。
役割だけでなく、配置や言葉(頭金、いぶし銀など)まで一致しているのもすごいです。
さらには、歩兵とサポーターが対応することに気づいたとき、サポーターもチームの一員であることを実感できてうれしくなりました。
サッカーと同様に西洋の伝統的なゲームであるチェスの駒と比較しても、日本の将棋の駒の方がはるかにサッカーのポジションに近いです。
これから、将棋とサッカーにますます注目していこうと思いました。
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